あの刀を見つけたのが始まりだったのかもしれない。
まさか、いわくつきの刀だったとは。
私はあの日、倉庫にある刀を見つけた。
そもそもなんであのような刀が私の家の倉庫にあったのか。
今は分かるけど、当時は想像もつかなかった。
私たちがなんでケヨイニと呼ばれているか。
長い時を経て曖昧になっていったことがたくさんあったんだと思う。
そう、刀の話に戻そうね。
私はなんでか刀を鞘から抜いた。
多分呪力的な力が働いていたんじゃないかな。
たぶん、ケヨイニのにね。
その日は何ともなくちょっと刀を見ただけですぐ鞘に戻した。
それからどのくらいかな。
二、三か月後くらいに私は旅に出ることになった。
「あなたは旅に出た方がいい」
って先見屋に言われちゃったからね。
その時も何を思ったかわからないけど、倉庫で見つけたあの刀を持って行こうと思った。
倉庫の物を勝手に持ち出したら怒られるかもと思って私は黙って刀を持ち出した。
んで、里を出たのはいいけど、その後どうしたらいいのか私にはわからなかった。
旅に出た方がいい、って言われてもどこを目指すとかは言われていなかったから旅の目的がなかったんだよね。
とりあえず一番近いゼンレンに行くことにした。
多少の路銀は持たされたけど、そのうちお金に困るだろうからゼンレンにいる友人に話を聞こうと思った。
友人によると定住しないなら用心棒はどうかと言われた。
ちょっと滞在するなら狩人の手伝いがいいらしい。
私は腕に自信があるわけではなかったのでちょっと悩んだが、友人の勧めに従ってまずは町周辺の化け物を退治してみることにした。
里で退治していた化け物たちとそう変わらない強さだったので、私でも用心棒は出来そうだった。
といっても、私に自分を売り込むことなどできようはずもない。
そもそもなんて声をかけたらいいのか。
他の人はどうやって用心棒の仕事を請け負っているんだ。
困っているのを見かけてか、友人が口利きをしてくれるらしい。